本年二月八日、私たちは、仙台城本丸跡の石垣修復工事に関して藤井市長に要望書を提出すると共に、その後数度にわたって修復工事関連資料の開示請求を行いました。また、建設局公園課から工事計画の説明や工事現場の案内を受けながら、工事計画全体と進捗状況の把握に努めてきました。この間、真摯に対応してくださった公園課の担当職員の方々には篤く感謝を申し上げます。
現段階までに明らかになった事項をふまえて、改めて私たちの疑問を述べ、質問と要望をさせて頂きます。
一 当初の理想的な修復理念はなぜ後退したのか
仙台城石垣修復工事は平成一〇年三月に、鹿島建設をメインとするJVとの間で請負契約が結ばれましたが、そこで仙台市当局が請負業者に示した仕様書(以下、原仕様書と称す)には、石垣修復工事について、私たちがみても感心するほど立派な内容が次のように記されていました。
・「修復にあたっては、初代藩主伊達政宗が約四百年前に築いた往事の技術を後世に 伝承することを基本とするため、本市教育委員会文化財課が行う発掘調査と並行し て工事を行い、本市が別途設置した「仙台城跡石垣等修復調査検討委員会」により 石垣の構造や構築技術の解明を図り、それらの調査を基に、往事の工法を再現し、 文化財としての価値を損なわないように修復することとしている。」(『特記仕様書 石垣修復編』「目的」の項目)
・「なお、本工事は江戸期におけるこの地域の特徴的な技術を再現することにあり、 往事の石積や石工技術の継承や伝達も目的としていることから、請負業者は石工職 人についても市内や周辺地域の同職人に呼びかけ、参加させることにより、同技術 者の育成や高揚を図ることとする。」(同前、「石積工」の項目)
この文章をみる限り、仙台市当局は当初、石垣修復にあたって、往事の工法の解明と再現、さらに地元の石工職人による石積技術の伝承等、文化財としての価値を守るために最大限の配慮と慎重さをもって臨もうとしていたことが伺えます。地元に存在する貴重な文化財を後世に久しく残していくための姿勢としては、高く評価されるべき内容でした。
このような方針を堅持して石垣修復工事を進めていれば、おそらく問題はなかったと思われます。しかし、仙台城跡石垣修復等調査検討委員会(以下、検討委員会と略称)の議事録によれば、最終回となった第九回検討委員会において、委員のなかから、市当局が進める工法に関して、「これは明らかに現代工法ででき上がっている」(第九回議事録七頁)、あるいは「これは我々が言っておった伝統技術を無視した考え方に近いんだと思います」(同前八頁)などと、厳しい批判が出されていました。「往事の工法を再現」するという当初の理念からは大きく後退し、専門家からも批判されるような内容になっていったことが分かります。なぜ、仕様書に見られる理想的な修復方針は、大きく後退してしまったのでしょうか。
私たちは、仙台市当局が策定したこの素晴らしい仕様書に基づいて仙台城石垣修復に臨むことを強く求めます。
二 地元の石工職人をなぜ参加させないのか
平成一〇年三月の原仕様書には、「往事の石積や石工技術の継承や伝達も目的」としているため、請負業者に対して、「石工職人についても市内や周辺地域の同職人に呼びかけ、参加させることにより、同技術者の育成や高揚を図ることとする。」という条件が明記されています。素晴らしい条件です。
これに関連して、平成一〇年三月に請負業者との間に交わされた約款には、次のように明記されています。
(総則)第一条
発注者及び請負者は、この約款に基づき、設計図書(別冊の図面、仕様書、現場 説明書及び現場説明)に対する質問回答書をいう)に従い、日本国の法令を遵守 し、この契約(この約款及び設計図書を内容とする工事の請負契約をいう)を履 行しなければならない。
これによると、請負業者は仕様書に明記された事項を遵守する責務を負っていますので、請負業者は仕様書に明記された通り、地元職人を参加させる義務を負っていることは明らかです。
しかし私たちが本年四月二〇日に、公園課及び鹿島建設の下請けである小林石材の職人の方に確認したところ、参加している石工職人は、主として東京の業者であり、ほかに数人の山形県の職人が参加しているにすぎませんでした。仙台市内には複数の石工職人が存在していますが、右の仕様書に明記された「市内」の石工職人はまったく参加していなかったのです。とすると、請負業者は契約条件を実行していなかったことになります。
また公園課に、地元職人を参加させるよう請負業者に指導はしているのかと質問したところ、積極的にはしていないとの回答がありました。これは契約条件に反した請負業者の行為を市当局が見逃してきたことにほかなりません。「往事の石積や石工技術の継承や伝達を目的としている」という方針、および地元の石工職人の「育成や高揚を図る」という方針は、完全になし崩しにされきたのです。
しかしその後、六月五日に、鹿島建設が地元の仙台石材業協同組合理事長らを呼び、修復工事への参加を要請したという事実を私たちは確認しています。この急な動きにも、私たちは極めて不自然さを感じています。
私たちは去る五月二五日に、質問・要望書を提出するために市長または三役による会見を市当局に申し入れました。これに対して市当局からは、関係部局での調整が必要なために質問・要望書を事前にファックスで送ってほしいとの要請がありましたので、五月三〇日に文書の原案を送信しました。その原案には、上述のような、地元石工職人をなぜ参加させないのかという項目がありました。その直後に、鹿島建設が石材工業共同組合理事長らに参加を要請したということになります。その間、日程調整がつかないということで、私たちの会見要望への回答は引き延ばされていました。確定したのは、五月一九日のことです。鹿島建設による突然の参加要請は、私たちの指摘を糊塗するために急いで行った行為だと強く疑うものです。< br/> もちろん、地元職人の方々が修復工事に参加されることは望ましいことです。しかし単に参加すればよいというものではなく、伝統工法を真に継承できるように、石積みにも参加できるような形態とすることを私たちは強く求めます。
三 新補石材の形状について
!doctype>
スマホはこれ待ち。象が踏んでも壊れないぜ!:カシオ「CASIO G-SHOCK PHONE」約3mからの落下衝撃に耐え、水深10m防水性能を備える超頑丈なスマートフォン | Google Pad